インターネットの普及とともにお金のやり取りも紙ベースから電子記録を利用したやり取りに変わりつつあります。
簿記の世界でももちろん電子記録債権を取り扱います。
でもそもそも電子記録債権とは何なのでしょうか?
受取手形との違いは何なの?
今回はこれらの疑問をなるべく簡単にわかりやすく解説をします!
Contents
【簿記】電子記録債権とは何かを簡単に説明
売掛債権を扱う際には手形などを思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか。
ただ、手形のような紙を持っていると失くしたりするリスクがありますよね?
誰かに盗まれてしまう可能性もあったります。
そんな問題を解決できるのが電子記録債権です。
電子記録を管理する機関があり、そこの記録原簿に売掛金などの債権を登録することにより権利が発生します。
要は電子記録機関に登録をして債権(債務)のやり取りをコンピュータ上で管理することができる仕組みなんです。
電子記録債権はどうやってやり取りするの?
それでは電子記録債権の流れを簡単に説明します。
電子記録債権は下記のような流れでやり取りをします。
1.取引が発生(売掛金が発生)
2.電子記録債権の発生記録の請求
3.相手の承認(電子記録債権の発生)
4.代金の受け取り(電子記録債権の消滅)
まず、あなたが何かを売り上げて、その売上を掛けで受け取ることになった場合、売掛金が発生しますよね。
そして、取引銀行を通じて債務者または債権者が発生記録の請求をすることにより、あなたはその売掛金の回収を電子記録によって行うことになります。
簿記の試験では「発生記録の請求を行った」というような言葉が出てきます。
聞き慣れない言葉なので「んっ?」と思う人もいるかもしれませんが、要は「電子記録を使って債権債務のやり取りをする依頼をした」というように解釈をすればいいのではないでしょうか。
そして、相手方が承認をすれば電子記録債権が発生したことになります。
後日、債務者があなたの口座に入金することにより、あなたは代金を受け取ることになります。
その際、銀行は電子記録機関に支払いが完了したことを通知し、電子記録機関はそれを記録します。
それにより、電子記録債権が消滅するのです。
これらの流れを仕訳でも解説していますので、こちらもざっとチェックしてみてくださいね。
電子記録債権の発生方式は2種類ある
電子記録債権は債務者(支払う方)が行う場合と債権者(受け取る方)が行う場合の2種類があります。
債務者(支払う方)が発生記録の請求をする場合は「債務者請求方式」と言います。
対して、債権者(受け取る方)が発生記録の請求を行う場合を「債権者請求方式」と言います。
債権者(受け取る方)・債務者(支払う方)どちらからでも依頼をすることができますが相手方の承認が必要になります。
電子記録債権と受取手形との違い
これまで電子記録債権とは何か簡単に説明をしてきました。
ここでは電子記録債権と手形との違いや電子記録債権のメリットとデメリットを説明していきます。
簿記の試験でメリットとデメリットに関して試験として出題されるわけではないですが、ざっと把握しておくといいでしょう。
電子記録債権のメリット
まず電子記録債権のメリットからです。
電子記録債権は下記のようなメリットがあります。
・紛失や盗難の心配がない
・事務作業の効率化ができる
・費用を削減できる
まず、「紛失や盗難の心配がなくなる」という点です。
手形は紙ベースのものになります。
紙ベースのものを扱っているとどうしても失くしたりする可能性がありますよね。
さらに誰かに盗まれたりする可能性だってあります。
でも電子記録債権は電子記録でやり取りします。
つまりペーパーレスなので紛失や盗難のリスクを回避できるんです。
次に「事務作業の効率化ができる」という点です。
手形などの場合、発行する側には発行作業や押印など地味で面倒な作業があります。
発行する側にとっては書き込むだけでも時間がかかりますよね。
電子記録債権だったらそんな地味な事務処理はありません。
すべて電子記録として残るので作業を効率化できます。
また、支払期日になると代金が送金されるので、手形のように銀行に取りに行ったりする必要もありません。
そして「費用を削減できる」です。
手形を扱う場合には印紙を添付しなければならず、印紙代がかかってしまいます。
でも電子記録債権の場合は印紙代が必要ないのです。
ですので電子記録債権を利用することにより費用を抑える事ができます。
さらに債権の回収管理をしなくてもいいので余計な人件費がかかりません。
また、電子記録債権は取引先に譲り渡して買掛金の支払いに回す(譲渡する)ことができたり、債権額の一部を支払いに回す(分割する)こともできます。
このように電子記録債権は様々なメリットがあるんですね!
電子記録債権のデメリット
お伝えしたように電子記録債権には多くのメリットがあります。
その一方で少なからずデメリットも存在します。
今度は電子記録債権のデメリットをお伝えします。
・相手が対応していないと取扱いができない
・システムに対応する必要がある
便利な電子記録債権ですが、そもそも取引先が対応していないと利用することができませんよね。
また、電子記録債権にも「でんさい」や「電ペイ」、「電手」、「支払手形削減サービス」などいくつかの種類があります。
取引先が他の電子記録債権サービスを利用している場合は利用できないこともあります。
取引先がたまたま同じサービスを利用していたらいいのですが、そうでなければそもそも利用することができないようです。
そして、電子記録債権はインターネットを使ってやり取りをするものです。
システムを利用するにはある程度の知識が必要になってきますよね。
導入コストがかかるサービスもありますし、利用するのに審査が厳しいところもあるなど、中小企業では少々敷居が高いようですね。
以上のようなデメリットがあるために、電子記録債権はいまいち浸透していないようです。
「電子記録債権とは何かを簡単に解説!受取手形との違いは?」のまとめ
電子記録債権は電子記録を利用して債権(債務)の管理をします。
手形のように紙ベースで発行したりするものではないので紛失や盗難の心配がありません。
また、手形と違って余計な事務処理をする必要もなく、印紙代がかからないので費用を削減することができメリットが多いです。
ただ、相手が電子記録債権の取扱いに対応できないとそもそも利用ができませんし、システムを導入するには多少なりとも労力がかかるのがデメリットとなります。
電子記録の流れに沿った仕訳例はこちらを参考にしてみてくださいね。