簿記の勘定科目である「小口現金」と「仮払金」。
どちらも現金を渡した時点ではどの科目にいくら使うか決まっていない点など、少し似ているところがあり違いがわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、小口現金と仮払金は意味も処理の仕方も異なる別物になります。
今回は「小口現金」と「仮払金」の違いについてのお話しをします。
Contents
小口現金と仮払金の違い
小口現金と仮払金はどちらも資産の勘定科目です。

しかし、意味や処理の方法は違うものになります。
まずはそれぞれの意味を確認してみましょう。
・小口現金…会社の各部署で経費の支払いができるようにあらかじめ用意してある現金
・仮払金…会社が従業員に前払いでおおまかなお金を支払った時に使う科目
それぞれの勘定科目の詳細はこちらでも解説しています。
小口現金は各部署で経費の支払いができるように用意されている少額の現金です。
経理担当者は各部署で小口現金を管理する担当者(小口係)に週1回・月1回など定期的に現金を支給します。
小口係はその現金で部署内の経費の支払いを行います。
一方の仮払金は従業員にたいして大まかにお金を支払った時に一時的に使う勘定科目です。
仮払金は従業員が出張に行く際によく使われますよね。
出張に行く前の時点では従業員が電車代や宿泊代などの経費を使用することはわかっていますが、いくら使うかはわからない状態です。
そこで大体これくらい使うだろうという大まかな金額を従業員に渡します。
小口現金は経理担当者から小口係に支給し、部署内の経費の支払いに充てるもの。
仮払金は出張などで経費を使う従業員にたいしておおまかな金額を支給した時に使う勘定科目。
小口現金と仮払金にはこのような違いがあります。
経費の精算の仕方の違い
小口現金と仮払金では使った経費の精算の仕方も異なります。
小口現金の場合は経理担当者から受け取った現金は小口係が管理をします。
小口係は都度生じる経費を小口現金で支払います。
支払った経費の内容は小口現金出納帳に記入しておいて週1回・月1回など決まった日に経理担当者に報告をします。
そして報告を受けた経理担当者は小口現金を補充する流れになっています。
一方、仮払金の場合はまず出張に行く従業員から仮払金の申請を受けます。
申請を受けた経理担当者は従業員に仮払金を渡します。
出張から戻ってきた従業員は経理担当者に仮払金をどのように使用したのか内容を報告します。
報告を受けた経理担当者は仮払金の精算をします。
余った仮払金は経理担当者に返金してもらい、仮払金が足りなくなって費用を立て替えていた場合には立て替えた金額を従業員に返金します。
小口現金と仮払金の仕訳のタイミング
小口現金と仮払金のそれぞれの仕訳をするタイミングを見ていきましょう。
小口現金は「前渡し時」、「報告時」、「補給時」の3つのタイミングで仕訳をします。
まず経理担当者は小口係に小口現金を渡したタイミングで仕訳をします。
そして小口係から日々の支払い内容の報告を受け、その報告をもとに経理担当者は仕訳をします。
最後に小口現金を補給した時にも仕訳をします。
小口現金の仕訳の流れについてはこちらで詳しく紹介しています。
仮払金の場合は仮払金として大まかな金額を渡した時(仮払い時)に仕訳をし、従業員が出張から戻り使途を確認した後に精算・仕訳をします。
仮払金の仕訳の流れはこちらで詳しく解説しています。
小口現金と仮払金とでは処理方法にもこのような違いがあるのがわかります。
「小口現金と仮払金の違いは?それぞれの異なる点を解説します!」まとめ
今回は小口現金と仮払金の違いについてお話をしてきました。
小口現金は会社の部署内の経費の支払いの為に用意してある現金で、仮払金は会社が従業員にたいして前払いでおおまかな金額を支給した時に使う勘定科目です。
精算の仕方や処理方法の違いもご紹介してきました。
それぞれの意味や処理の仕方をしっかりと理解して使い分けられるようにしましょう。