会社では経理部がお金を管理していますが、他の部署も日々お金の支払いがあります。
でも支払いがあるたびにわざわざ経理部にお金をもらいに行くのは大変ですよね。
もし、それぞれの部署であらかじめ小口現金を用意しておけば支払いが簡単・スムーズにできます。
今回は簿記の勘定科目の一つ『小口現金』とは何なのか、意味や定義をわかりやすく解説します。
Contents
小口現金とは何かをわかりやすく解説
それでは小口現金についてお話をしていきます。
読み方は「こぐちげんきん」と読みます。
意味や定義、取り扱いの流れ、処理の仕方を順番に見ていきましょう。
小口現金の意味・定義
小口現金とは各部署の経費の支払いに備えて用意してある少額の現金のことを言います。
会社で部署ごとに現金を管理したい時に使います。
大きな会社になるとさまざまな部署があり、それぞれの部署で日々小さな出費があります。
そういった支払いをわざわざ経理担当者のところに何度ももらいに行くのは大変です。
ですので、各部署にあらかじめ少額の現金を用意しておくのです。
そうすれば日常的な支払いがスムーズになりますよね。
小口現金で支払う費用には以下のようなものがあります。
小口現金の用途 | 勘定科目 |
事務用品・文房具代・コピー用紙など | 消耗品費 |
電車代・バス代・タクシー代・宿泊代など | 旅費交通費 |
切手代・はがき代・電話料金など | 通信費 |
水道代・電気代・ガス代など | 水道光熱費 |
荷物の発送 | 発送費 |
修理費用 | 修繕費 |
収入印紙の購入代 | 租税公課 |
小口現金は資産・負債・純資産・収益・費用の5つのグループのうち資産の勘定科目になります。
現金などと同じように会社の財産ですので資産です。
ですので、小口現金の仕訳をする際、増加させる時は左側(借方)、減少させる時は右側(貸方)に記入します。
小口現金の流れ
それでは小口現金の流れについて解説します。
小口現金を扱う担当者のことを小口係や小口現金係と言います。
小口現金は小口係が所持することになります。
1.まず会計係(経理担当者)が小口係に一定額を前渡します。
2.小口係は小口現金を使って日々の経費の支払いをします。
※小口係は支払った内容を小口現金出納帳という帳簿に記入します。
3.小口係は定期的(週1回・月1回など)に支払った経費の内容を会計係に報告をします。
4.会計係は報告を受けた金額と同額の小口現金を再度小口係に渡します。
こういった流れで小口現金は扱われます。

このようにあらかじめ月1回・週1回など期間を決めて一定額を各部署の小口係に渡しておき、使った金額と同額を補充します。
そうすることで、各部署はその都度経理担当者に報告することなく経費の支払いができます。
このような管理方法をインプレストシステムまたは定額資金前渡制度(ていがくしきんまえわたしせいど)と言います。
ちなみに小口現金を補給する時期は月末や月初・週末や週の始めなど各会社ごとに決まりがあります。
【簿記】小口現金の処理について
先ほどご紹介した小口現金の処理の流れをもう一度確認してみましょう。
1.会計係(経理担当者)が小口係に一定額を前渡し。
2.小口係は小口現金を使って日々の経費の支払いをする。
※小口係は支払った内容を小口現金出納帳に記入。3.小口係は定期的(週1回・月1回など)に支払った経費の内容を会計係に報告。
4.会計係は報告を受けた金額と同額の小口現金を再度小口係に渡す。
ポイントは小口現金の仕訳は会計係が行うということです。
小口係は支払い内容を小口現金出納帳などに記入をしますが、仕訳はしません。
ですので、1、3、4では仕訳を行いますが2では仕訳はありません。
ではこの小口現金の処理の流れを再度確認しながら仕訳をしてみましょう。
1.小口現金を前渡しした時の処理
例1)会計係は小口係に小口現金50,000円を現金で支給した。
現金で支給したので現金を減少させます。
現金は資産の勘定科目なので減少した時は右側(貸方)に記入します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 50,000 |
小口現金を増加させます。
小口現金も資産の勘定科目ですので増加した時は左側(借方)に記入します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
小口現金 | 50,000 | 現金 | 50,000 |
2.小口係が小口現金を使って経費の支払いをした時
例2)小口係は消耗品費3,000円を小口現金から支払った。
小口現金を使った際、小口係が支払い内容を小口現金出納帳に記入をしますが、仕訳を担当するのは会計係です。
会計係が支払いの報告を受けた際に、その支払い内容を仕訳します。
ですので、「仕訳なし」が解答になります。
3.会計係が支払いの報告を受けた時の処理
例3)会計係は小口係から交通費8,000円、消耗品費3,000円、通信費7,000円を小口現金から支払ったと報告を受けた。
小口係から支払いの報告を受け、会計係が仕訳をします。
交通費・消耗品費・通信費はすべて費用の勘定科目です。
費用が増加した時は左側(借方)に記入します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
交通費 | 8,000 | ||
消耗品費 | 3,000 | ||
通信費 | 7,000 |
小口現金から支払ったので、小口現金勘定を減少させます。
小口現金を減少させる時は右側(貸方)に記入します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
交通費 | 8,000 | 小口現金 | 18,000 |
消耗品費 | 3,000 | ||
通信費 | 7,000 |
4.会計係が小口係に資金を補給した時の処理
例4)会計係は小口係に小口現金18,000円を現金で補給した。
考え方・処理の仕方は例1と同じです。
現金で支給したので現金を減少させます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 18,000 |
小口現金を補給したので小口現金勘定を増加させます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
小口現金 | 18,000 | 現金 | 18,000 |
小口現金の仕訳の詳細はこちらでも解説しています。
「小口現金とは何かをわかりやすく解説!意味や定義などの基礎知識をご紹介!」のまとめ
今回は簿記の勘定科目の一つ『小口現金』の意味や定義・取り扱いの流れ、処理の仕方などについてお話をしました。
小口現金とは各部署の経費の支払いに備えて用意してある少額の現金のことです。
小口現金を用意することで、各部署はその都度経理担当者の所に行かなくても経費の支払いができます。
運用の流れがわかればそこまで難しい問題は出題されませんので、しっかり理解しましょう!