今回は簿記の勘定科目「繰越商品」とは何なのかをわかりやすくお話しします。
会社はたくさんの商品を仕入れますよね。
その商品は期末までに全部売れるかというとそうではなく在庫が残ることが多いです。
簿記では商品の在庫を次期に繰り越す時に繰越商品という勘定科目を使います。
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繰越商品とは何かをわかりやすく解説
それでは繰越商品についてお話をしていきます。
読み方は「くりこししょうひん」と読みます。
続いて意味や処理の仕方について順番に見ていきます。
勘定科目「繰越商品」の意味
繰越商品とは期末にまだ販売していない商品(在庫)の金額を表す勘定科目です。
そして繰越商品は決算時に売上原価を算出するためにとても重要な勘定科目です。
三分法では商品を仕入れた時に仕入勘定を使って記帳します。
※三分法…仕入(費用)、売上(収益)、繰越商品(資産)を使って記帳する方法
仮に期首にも期末にも商品在庫がなければ1年間に仕入れた商品は全部販売されたことになりますので当期の仕入高と売上原価はイコールになります。
しかし、在庫がある場合は売上原価イコール仕入とはなりません。
なぜなら、売上原価は当期に販売した商品の仕入れ金額であるのにたいして、仕入は1年間に購入した金額を表すので、まだ販売していない在庫商品も含まれています。
ですので三分法を使って売上原価を算出する時は期末に残った商品を仕入の費用から除いてあげないといけません。
残っている在庫を費用ではなく次期に繰り越す商品にしてあげるのです。
この処理をする時に使う勘定科目が「繰越商品」です。
繰越商品は資産・負債・純資産・収益・費用の5つのグループのうち、資産の勘定科目になります。

ですので仕訳をする際、繰越商品が増えた時は左側(借方)に記入し、減った時には右側(貸方)に記入します。
勘定科目「繰越商品」を使って売上原価を算定
例)期末を迎え、在庫を数えてみたところ商品500円分残っていました。
この時の決算整理仕訳をしてみましょう。
※当期の期首には在庫がなかったとします。
期末に残っている在庫商品500円分を次期に繰り越す処理をします。
商品を次期に繰り越すので繰越商品を増加させます。
繰越商品は資産の勘定科目ですので増加した時は左側(借方)に記入します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
繰越商品 | 500 |
商品在庫500円分を仕入れ費用から除くので仕入500円を減らします。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
繰越商品 | 500 | 仕入 | 500 |
仮に当期商品を2,000円仕入れたとすると在庫商品500円を除いた1,500円分(2,000円-500円)が売れたということになります。
この1,500円が売上原価になります。
売上原価1,500円=当期仕入れた商品2,000円-期末の商品在庫500円
勘定科目「繰越商品」を使って売上原価を算定(期首にも在庫がある場合)
期首に在庫があった場合は在庫商品を今期の仕入費用に含めます。
そして当期の在庫を今期の費用から除いて次期に繰り越し、売上原価を算定します。
前期分の繰越商品を期首商品棚卸高、次期に繰り越す繰越商品を期末商品棚卸高といいます。
例)決算で期首商品棚卸高が500円、期末商品棚卸高が1,000円であることが分かった。
期首に繰越商品として処理されていた500円は当期に売り上げていると考え、繰越商品から仕入勘定に振り替えます。
そして期末に残っている商品在庫1,000円を仕入勘定から繰越商品勘定へ振り替えます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
仕入 | 500 | 繰越商品 | 500 |
繰越商品 | 1,000 | 仕入 | 1,000 |
仮に当期商品仕入高が3,000円だとします。
この場合、期首商品棚卸高500円と当期商品仕入高3,000円を足すと3,500円。
この3,500円から期末商品棚卸高1,000円を差し引くと2,500円になり、これが売上原価となります。
売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高
売上原価2,500円=期首商品棚卸高500円+当期商品仕入高3,000円-期末商品棚卸高1,000円と計算することができます。
繰越商品を使った仕訳についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
>>勘定科目「繰越商品」を使った仕訳のやり方をわかりやすく解説!【簿記3級】
「簿記の勘定科目【繰越商品】とは?意味をわかりやすく解説します!」まとめ
簿記の勘定科目「繰越商品」についてお話をしてきました。
繰越商品は期末にまだ販売していない在庫商品の金額を表す勘定科目です。
繰越商品は資産の勘定科目ですので増加した時は左側(借方)に記入、減少した時は右側(貸方)に記入します。

