企業がお金を貸し付けた際、一般的には借用証書を取り交わします。
しかし、借用証書の代わりに約束手形を受け取ることがあります。
その場合は「手形貸付金」という勘定科目を使って処理をするんです。
今回は簿記の勘定科目「手形貸付金」について意味をわかりやすく解説します。
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手形貸付金とは?意味をわかりやすく解説
それでは手形貸付金についてお話をしていきます。
読み方は「てがたかしつけきん」と読みます。
手形貸付金は貸付金や受取手形といった勘定科目と似ているので間違えないように気を付けておきたいですね。
手形貸付金の意味
手形貸付金はお金を貸した際、借用証書の代わりに約束手形を受け取った時に使う勘定科目です。
お金を貸した際、通常、貸主はお金を借りたことを証明する証書である借用証書を借主から受け取ります。
しかし、借用証書の代わりに約束手形を受け取って貸し付けを行うこともできるんです。

その場合、借用証書で貸し付けた貸付金と区別をする為に手形貸付金で仕訳をします。
商取引の代金決済の為に振り出される手形を商業手形、資金の貸借のために振り出される手形を金融手形と言います。
商品を販売した時に受け取った手形(商業手形)を処理する際は受取手形勘定を使い、金銭を貸し付けた時に受け取った手形(金融手形)を処理する際は手形貸付金勘定を使います。
手形貸付金は資産の勘定科目
手形貸付金は資産・負債・純資産・収益・費用の5つのグループのうち、資産の勘定科目です。
貸したお金を返してもらう権利(将来お金を受け取ることができる権利)を持っているので資産になります。

ですので仕訳をする際、手形貸付金が増加した時は左側(借方)に記入し、減少した時には右側(貸方)に記入します。
手形貸付金の処理
次に手形貸付金を使った簡単な仕訳をしてみましょう。
例1)徳島社は高松社に現金70,000円を貸し付け、同額の約束手形を受け取った。
この取引について、徳島社の仕訳をしてみましょう。
現金を貸し付け、約束手形を受け取ったので手形貸付金を増加させます。
手形貸付金は資産の勘定科目なので増加した時は左側(借方)に記入します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
手形貸付金 | 70,000 |
現金を貸し付けたので減少させます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
手形貸付金 | 70,000 | 現金 | 70,000 |
これで現金を貸し付けた際に約束手形を受け取った場合の仕訳は完成です。
例2)徳島社は高松社より例1)の手形貸付金70,000円の返済を受け、利息500円とともに現金で受け取った。
この取引について、徳島社の仕訳をしてみましょう。
70,000円の返済を受けたので、手形貸付金を減少させます。
手形貸付金が減少した時は右側(貸方)に記入します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
手形貸付金 | 70,000 |
利息を受け取ったので受取利息を増加させます。
受取利息は収益の勘定科目ですので、増加した時は右側(貸方)に記入します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
手形貸付金 | 70,000 | ||
受取利息 | 500 |
貸したお金と利息は現金で受け取ったので現金を増加させます。
受け取った現金は70,500円(70,000円+500円)です。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 70,500 | 手形貸付金 | 70,000 |
受取利息 | 500 |
以上で貸付金の返済を受けた時の仕訳は完成です。
日商簿記3級では仕訳をする際に利息を自分で計算しなければならない問題があります。
詳細はこちらで解説していますので、チェックしてみてくださいね。
>>【簿記3級】手形貸付金の仕訳について具体例を交えて解説!
「【簿記の勘定科目】手形貸付金とは?意味をわかりやすく解説します!」のまとめ
簿記の勘定科目「手形貸付金」についてお話をしてきました。
手形貸付金は借用証書の代わりに約束手形を受け取ってお金を貸し付けた時に使う勘定科目です。
貸付金や受取手形といった勘定科目と間違えないようしっかり理解しておきたいですね。

