今回は簿記の勘定科目の一つ「手形貸付金」の仕訳についてお話をします。
具体的には手形による貸付けをした場合の仕訳や手形貸付金の回収時の仕訳方法を解説します。
また、仕訳をする際に手形貸付金の利息の計算が必要な問題もありますので一緒に見ていきましょう。
Contents
手形貸付金の仕訳をするための準備
仕訳をする前に手形貸付金についておさらいをしておきます。
手形貸付金とは:
・手形貸付金…お金を貸した際、借用証書の代わりに約束手形を受け取った時に使う勘定科目
になります。
お金を貸し付けた時に借用証書ではなく約束手形を受け取った時は手形貸付金を使って仕訳をすることになります。
手形貸付金についての詳しい内容はこちらでも解説しています。
>>【簿記の勘定科目】手形貸付金についてわかりやすく解説します!
そして、手形貸付金は資産の勘定科目になります。

ですので仕訳をする際:
・手形貸付金が増加した時には左側(借方)
・手形貸付金が減少した時には右側(貸方)
に記入していきます。
手形貸付金の利息の計算
お金を貸した対価として利息を受け取ります。
受け取った利息は「受取利息」という勘定科目を使って仕訳をします。
また、利息を自分で計算する問題もあります。
その際は次の式で計算することができます。
・利息を月割りで計算する場合
利息額=手形貸付金額×年利率×月数/12か月
・利息を日割りで計算する場合
利息額=手形貸付金額×年利率×日数/365日
【簿記】手形貸付金の仕訳
それでは手形貸付金を使った簡単な仕訳をしていきましょう。
手形貸付金の仕訳例1:手形による貸付け
松山社は高知社に現金48,000円を貸付け、借用証書の代わりに高知社振出しの約束手形を受け取った。
借用証書の代わりに約束手形を受け取ったので手形貸付金を増加させます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
手形貸付金 | 48,000 |
現金が減ったので右側(貸方)に記入します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
手形貸付金 | 48,000 | 現金 | 48,000 |
手形貸付金の仕訳例2:手形貸付金の回収時
松山社は高知社より仕訳例1の手形貸付金48,000円の返済を受け、利息とともに現金で受け取った。
なお、貸付期間は6か月で年利率は5%であった。
返済を受けたので手形貸付金を減少させます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
手形貸付金 | 48,000 |
利息を受け取ったので受取利息を増加させます。
利息額は48,000円×5%×6か月/12か月=1,200円です。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
手形貸付金 | 48,000 | ||
受取利息 | 1,200 |
貸したお金と利息を現金で受け取ったので現金を増加させます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 49,200 | 手形貸付金 | 48,000 |
受取利息 | 1,200 |
手形貸付金の仕訳問題をやってみよう
今度は手形貸付金勘定を使った仕訳の練習問題を解いてみましょう。
手形貸付金の仕訳問題1
取引先の福岡社に700,000円を貸付け、同額の約束手形を受け取った。
利息は年利率4.5%、貸付期間は8か月で利息分を差し引いた残額を小切手を振り出して支払った。
解答
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
手形貸付金 | 700,000 | 受取利息 | 21,000 |
当座預金 | 679,000 |
解説
お金を貸付け、同額の約束手形を受け取っているので手形貸付金を増加させます。
利息額は21,000円=700,000円×4.5%×8か月/12か月です。
受取利息は収益の勘定科目ですので増えた時は右側(貸方)に記入します。
利息を差し引いた残額679,000円(700,000円-21,000円)を小切手を振り出して支払っているので当座預金を右側(貸方)に記入します。
※利息の受け取りは貸付け時に受け取る場合と返済時に受け取る場合がありますが、今回は貸付け時に利息を受け取るパターンです。
679,000円だけを支払い、先に21,000円を利息として受け取っています
手形貸付金の仕訳問題2
佐賀社に年利率5%、期間150日で730,000円を貸付け、同額の約束手形を受け取っていた。
本日満期日のため、佐賀社から利息とともに現金で返済を受けた。
解答
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 745,000 | 手形貸付金 | 730,000 |
受取利息 | 15,000 |
解説
手形の満期日に返済を受けた時の仕訳問題で、利息は返済時に受け取るパターンです。
返済を受けたので手形受付金730,000円を右側(貸方)に記入します。
利息を受け取ったので受取利息を右側(貸方)に記入します。
利息額は15,000円=730,000円×5%×150日/365日です。
貸したお金と利息の合計745,000円を現金で受け取ったので現金を増加させます。
「【簿記3級】手形貸付金の仕訳について具体例を交えて解説!」のまとめ
今回は簿記の勘定科目の一つ「手形貸付金」を使った仕訳をしてきました。
金銭を貸し付けた際に手形を受け取った場合は手形貸付金を使って仕訳をします。
日商簿記3級では利息を自分で計算する問題もありますので、利息額の計算はできるようにしておきたいですね。

