簿記

受取手形の仕訳について!回収時や決済時の処理の方法を解説【簿記3級】

受取手形の仕訳について!回収時や決済時の処理の方法を解説

簿記では手形を受け取った方は受取手形という勘定科目を使って帳簿に記帳をします。

今回は簿記の勘定科目『受取手形』の仕訳について解説します。

「手形を受け取った時の仕訳」、「手形が決済され入金された時の処理」などを一緒に見ていきましょう!




Contents

受取手形の仕訳をするための予備知識

仕訳をする前に受取手形についてのおさらいです。

受取手形とは:

・受取手形…商品を販売した際に、相手から受け取った手形のことです。

です。

商品やサービスを提供した際に代金を手形で受け取ることがあり、受け取った手形を受取手形と呼びます。

受取手形の意味や定義などの詳細はこちらで解説していますので、詳しく知りたい方はチェックしてみて下さいね。

>>【簿記】受取手形の意味をわかりやすく解説!

 

受取手形の仕訳処理の仕方

受取手形は資産のグループの勘定科目です。

受取手形の仕訳処理の仕方について

ですのでホームポジションは貸借対照表の左側(借方)になります。

受取手形の仕訳をする際には:

・受取手形が増加した時は左側(借方)
・受取手形が減少した時は右側(貸方)

に記入していきます。

それでは実際に受取手形を使った仕訳をしていきましょう。




受取手形の仕訳例1:約束手形を受け取った時

仕訳例1)鳥取社に商品85,000円を売り上げ、代金は鳥取社が振り出した約束手形で受け取った。

この時の仕訳をしてみましょう。

 

まず、商品を売り上げたので売上が増えます。

売上は収益の勘定科目ですので増加した時は右側(貸方)に記入します。

借方 金額 貸方 金額
    売上 85,000

代金は鳥取社が振り出した約束手形で受け取っています。

約束手形を受け取った時は受取手形で仕訳をします。

受取手形は資産の勘定科目ですので増加した時は左側(借方)に記入します。

借方 金額 貸方 金額
受取手形 85,000 売上 85,000

以上で商品を売り上げ、約束手形を受け取った時の仕訳は完成です。

手形を受け取ったら受取手形で仕訳しましょう

 

受取手形の仕訳例2:受取手形を決済し、当座預金に入金された時

仕訳例2)仕訳例1の約束手形が支払期日になり、手形代金85,000円が当座預金に振り込まれました。

その時の仕訳は?

 

当座預金に代金が振り込まれたので、当座預金を増加させます。

当座預金は資産ですので増えた時は左側(借方)に記入します。

借方 金額 貸方 金額
当座預金 85,000    

代金を受け取ったので、受取手形を減少させます。

受取手形を減らす時は右側(貸方)に記入します。

借方 金額 貸方 金額
当座預金 85,000 受取手形 85,000

これで受取手形が決済され、当座預金に入金された時の仕訳は完成です。

代金が入金された際、受取手形は消滅するので貸方(右側)に仕訳するようにします

 

受取手形の仕訳例3:売掛金を手形で回収した時

仕訳例3)松江社に対する売掛金120,000円を同社振り出し、当社宛の約束手形で回収した。

 

少し堅苦しい文章で分かりづらかったかもしれません。

問題にある「同社」とは松江社のことです。

松江社が当社宛に約束手形を振り出したということになります。

松江社に対する売掛金を約束手形で受け取った、すなわち「売掛金を受取手形に振り替える」ということです。

手形を受け取ったので受取手形を増加させます。

借方 金額 貸方 金額
受取手形 120,000    

手形を受け取ったことにより、掛代金を受け取る権利が消滅したので売掛金を減少させます。

売掛金は資産の勘定科目ですので減少させる時は右側(貸方)に記入します。

借方 金額 貸方 金額
受取手形 120,000 売掛金 120,000

これで売掛金を約束手形で回収した時の仕訳は完成です。

後日手形の期日がやってきて、当座預金に入金されたら仕訳例2のように

借方 金額 貸方 金額
当座預金 120,000 受取手形 120,000

と仕訳することになります。

 

割引手形や裏書手形は簿記3級の出題範囲外

ここからは割引手形や裏書手形の仕訳をしていきます。

割引手形と裏書手形は以前は日商簿記検定試験3級の範囲でしたが、現在では対象外になっています。

2級で学習する範囲になりますので、2級にも興味がある方はチェックしてみて下さいね。

 

仕訳例4)岡山社より受け取っていた約束手形150,000円を銀行で割り引き、割引料1,800円を差し引かれ、残額は当座預金に入金した。

 

銀行に手数料を支払うことで期日より前に手形を換金することができます。

割り引かれた手形のことを割引手形と言います。

ただ、割引手形という勘定科目は使わずに割引料は手形売却損という費用の勘定科目で処理をします。

では見ていきましょう。

まず、手数料を差し引かれた金額が当座預金に入金されたので当座預金を増加させます。

入金額は148,200円(150,000円-1,800円)です。

借方 金額 貸方 金額
当座預金 148,200    

割引料1,800円は銀行に支払う手数料で手形売却損を使います。

手形売却損は費用のグループですので、増加した時は左側(借方)に記入します。

借方 金額 貸方 金額
当座預金 148,200    
手形売却損 1,800    

手形が決済されたので受取手形を減少させます。

借方 金額 貸方 金額
当座預金 148,200 受取手形  150,000 
手形売却損 1,800    

これで手形を銀行で割り引いた時の仕訳は完成です。

 

仕訳例5)広島社から商品160,000円を仕入れ、代金の支払いとして山口社から受け取った約束手形を裏書譲渡した。

 

仕入れなどの代金の支払いに手形を使うことができます。

これを手形の裏書きと言います。

手形を持っている人が手形の裏面に署名をして第三者に譲渡するので裏書譲渡なのです。

商品を仕入れたので費用を増加させます。

仕入が増加した時は左側(借方)に記入します。

借方 金額 貸方 金額
仕入 160,000    

手形を譲り渡したので受取手形を減少させます。

借方 金額 貸方 金額
仕入 160,000 受取手形 160,000

これで商品を仕入れた際に代金の支払いとして手形を裏書譲渡した時の仕訳は完成です!

 

「受取手形の仕訳について!回収時や決済時の処理の方法を解説【簿記3級】」のまとめ

今回は簿記の勘定科目『受取手形』の仕訳について解説をしてきました。

手形を受け取った時・手形が決済された時の処理方法を理解いただけたかと思います。

割引手形や裏書手形は日商簿記検定3級の範囲外になったので、3級取得のみを目指してる方は飛ばして頂いても結構です。

2級取得を目指している方はチェックしてみてくださいね!